有向絡み目$K$に対して,次の3つの公理を用いて変数$z$の整係数多項式 $\nabla_{K}(z)$を定義することができる.
この3つの公理を満たす$\nabla_{K}(z)$は 実際に存在して,有向絡み目の不変量になる. $\nabla_{K}(z)$を有向絡み目$K$の{\em Conway多項式}とよぶ.
有向絡み目$M$が分離可能ならば$\nabla_{M}(z)=0$である. 実際 $M$の正則表示を下の図のように分離した図形$M'$とする. $M'$
有向絡み目$K$,$L$の正則表示を$K'$,$L'$とし,下の図のように定める. $K'$, $L'$
$K'$,$L'$は明らかに同型な絡み目なので, 1つ目の公理より $\nabla_{K}(z)=\nabla_{L}(z)$ となり,2つ目の公理より $0=\nabla_{K}(z)-\nabla_{L}(z)=z\nabla_{M}(z)$ 従って $\nabla_{M}(z)=0$
例えば $P$ Conway多項式は以下のとおり計算できる. $P$ --$>$ $Q$, $R$ --$>$ $S$ $T$
上の図の$Q$は$P$の一番下の交差点を交差交換した図形で, $R$は同じ交差点を分離した図形である. また, $S$,$T$も$Q$,$R$と同様である.
上の公理を使ってConway多項式を計算すると, $\nabla_{R}(z)-\nabla_{S}(z)=z\nabla_{T}(z)$ Sは分離可能なので,$\nabla_{S}(z)=0$となる. \nabla_{R}(z)-0&=&z \nabla_{R}(z)&=&z 従って \nabla_{P}(z)-\nabla_{Q}(z)&=&z\nabla_{R}(z)より \nabla_{P}(z)-1&=&z^{2} \nabla_{P}(z)&=&z^{2}+1 となる.