state全体を使って,以下のようにして正則同位の不変量が定義できる.
$K$のstate $\sigma$に対して,
AとBの多項式$< K \mid \sigma >$を
$A^{(\sigma \mbox{の中のラベル}A \mbox{の数})}$
$\times$
$B^{(\sigma \mbox{の中のラベル}B \mbox{の数})}$
と定める.
また,整数$\parallel \sigma \parallel$を
($\sigma$の絡み目としての成分数-1)と定義する.
$A$と$B$と$d$の多項式
\[
を Bracket多項式 とよぶ.
このBracket多項式が不変量となるように, $A,B,d$間にある関係を定めたい, そこでReidemeister移動の下での挙動を調べる.
まず正則同位に関しての挙動を調べる.
Reidemeister移動IIについては,
図形
&=& A
図形
+B
図形
&=& AB
図形
+AB
図形
+(A^2+B^2)
図形
となる.
K_1 =
図形,
$K_2 = $
図形,
$K_3 = $
図形,
$K_4 = $
図形
とする.但し
$K_1$,
$K_2$,
$K_3$,
$K_4$の残りの部分は同じであるとする.
また,
図形
$=$
$<$
図形
$+$
図形
$>$
なので,Bracket多項式の定義より
図形
$=1$
となり,
図形
$=d$
図形
となる.従って
$AB=1,ABd+A^{2}+B^{2}=0$とすると,
Bracket多項式はReidemeister移動IIの下で不変となる.
Reidemeister移動IIIについて,
$B=A^{-1},d=-A^{2}-A^{-2}$とすると
図形
$=\ldots$
$=$
図形
となる.
よって$B=A^{-1},d=-A^{2}-A^{-2}$とすれば,
Bracket多項式は正則同位に関して不変になる.
次にReidemeister移動Iについて
図形
&=& A
図形
+B
図形
&=& Ad
図形
+B
図形
&=& (Ad+B)
図形
図形
&=& A
図形
+B
図形
&=& A
図形
+Bd
図形
&=& (A+Bd)
図形
ここで$B=A^{-1},d=-A^{2}-A^{-2}$だから
図形
&=& (-A^3)
図形
図形
&=& (-A^{-3})
図形
となる.
例えば5.1の$A$のBracket多項式は以下のとおり計算できる.
$<E>$&=&Ad^{2-1}
&=& Ad
$<F>$&=&Bd^{1-1}
&=& B
となり
$<C>$&=&A$<E>$+B$<F>$
&=&Ad+B
となることが判る.
他も同様に
<D>&=&A<G>+B<H>
&=&A+Bd,
<J>&=&A<L>+B<M>
&=&A+Bd,
<K>&=&A<N>+B<O>
&=&Ad+Bd^{2},
<Y>&=&A<C>+B<D>\\
&=&A^{2}d+2AB+B^{2}d\\
<I>&=&A<J>+B<K>
&=&A^{2}+2ABd+B^{2}d^{2},
と計算できるので
<Z>&=&A<Y>+B<I>\\
&=&A^{3}d+3A^{2}B+3AB^{2}d+B^{3}d^{2} \\
&=&A^{5}-A^{-3}+A^{-7}
となる.